Qちゃん、高橋尚子を現役引退

2000年シドニーマラソン女子マラソンの金メダリストで、2001年のベルリンマラソンで女子と下は初めて2時間20分の壁を破る2時間19分46秒の世界記録を樹立した高橋尚子さんが11月28日記者会見を開き、現役引退を表明しました。

朝日新聞から引用します。


現役引退を表明した00年シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子(36)=ファイテン=が28日、東京都内のホテルで記者会見を開いた。肉体的、精神的な限界を感じ、思うように練習ができなくなったことが引退の理由になったと説明した。

多くのカメラのフラッシュを浴びながら、高橋は会見場に登場。引退を決断し所属先の社長に伝えた10月10日から2週間以上たっていることもあり、すっきりした表情で受け答えをしたが、時折、目にうっすら涙を浮かべることもあった。

現在の気持ちについては「中学で陸上を始め、五輪、世界記録と多くを経験し、今は台風が過ぎ去った後のさわやかな風が吹いているという心境。陸上人生に悔いはない」。今後については具体的なことは決まっていないが、「陸上を通じて応援をもらった。陸上を若い世代に伝えたり、普及したりしたい。この後の人生で恩返しできることがしたい」と話した。

     ◇

「完全燃焼して、さわやかな気持ちです」。高橋尚子は記者会見で、そう心境を語った。日本陸上女子初の五輪金メダルをもたらし「Qちゃん」の愛称で親しまれた国民的ランナーが、20年を超える陸上人生に幕をおろした。

会見場は、05年にかつての師である小出義雄氏(69)からの独立を表明した東京都内のホテルだった。「本日をもちまして現役引退を決意しました。3大会(11月の東京国際、来年1月の大阪国際、3月の名古屋国際)出場を心待ちにしていたファン、陸上関係者、スポンサーに深くおわびします」。開口一番、そう言って頭を下げた。

5月末から米国コロラド州で練習してきたが、8月に入り、思うような走りができなくなった。「これで『プロ高橋尚子』と自信を持って出場できるかと考え、このままじゃいけないと強く思うようになった。納得のいく走りができなくなった。肉体的、精神的にこれが限界なのかなと感じました」。10月10日、所属先のファイテンの社長に決意を伝えると、涙が出たという。

マラソンは11戦7勝。00年に五輪金メダルを獲得し、01年に世界記録(当時)を樹立した。だが、一番の思い出のレースとしては、2度目のマラソンで2時間25分48秒の日本記録(当時)で初優勝した98年の名古屋国際女子を挙げた。「成績が残せなかったらマラソンをやめるつもりだった。転機になりました」

「大切な方」と表現する小出氏から独立した後、05年に独自に練習パートナーやトレーナーを雇って「チームQ」を結成。新たな挑戦に出たが、なかなか結果が残せなかった。それでも「陸上だけじゃなく、チームのあり方、まとめ方、いろんなことを学べた。充実した、自分の足で歩いた3年間だった」という。ただ、やめていくメンバーもいて「力不足かなとも悩んだ」と振り返った。今後については未定だが、「陸上が大好き」と語る高橋らしく「50歳、60歳になってもジョガーとして走り続けたい。陸上の楽しさを多くの人に伝えていきたい」と話した。

会見の最後、「今まで本当にありがとうございました」とあいさつした高橋に報道陣から拍手が送られると、こらえてきた涙があふれ出た。(小田邦彦)

お知らせ